ダムと日本

水害に渇水に、最近マスコミに取り上げられるのはこの二つばかりですが、そういえば治水と公共事業と環境破壊云々、というのは、ほとんど見なくなりましたね。
……民主党が公共事業をどうこうって言ってた気がするけど、あちらからするとどうなんだろう、この状況…。
そう思いながら手に取った一冊。


2001年に出版された本で、官によるダム建設と地元との関係の表と裏、そしてダム建設に反対してきた著者の活動が、長良川河口堰のそれを中心にして纏められています。
著者の天野さんは、治水の勉強のため、実際にアメリカやヨーロッパ諸国を訪れて、政府と市民団体に説明を頼んだり、日本でのイベントに海外から識者を集めたり、国会議員に法律の改正を働きかけたりと、勢力的な活動をされているので、ドキュメンタリとして呼んでも刺激的です。
…自分は良く覚えていませんが、座り込みをして、ニュースでも取り上げられていたようですね。


水力発電は、すでにクリーンエネルギーとは言えない」というのが世界的に常識になっている、とか、あまり口に上らないようなことが書いてあって面白い。
洋書のような簡潔さはありませんが、現地での生のやり取りの一端を知ることが出来ます。水道や川について、気になったことが一度でもあったら、オススメかも。


この本を読んで改めて思ったのは、マスコミの過剰報道が問題になる一方で、本当に深刻な問題が、必ずしも報道されているとは限らないのだなということ。ちょっとでも疑問に思ったら、すぐに自分で調べないと、政治家のずさんさを責めたり笑ったりなんで出来ないですね。(w
…_| ̄|○


ということで、本の内容についてはこの辺にしておいて、今はリンクを作っておきます。
まずは長良川河口堰の管理運営団体のサイト。
http://www.gix.or.jp/~naga02/nagara/
河口堰についての説明文は、漢字を使う頻度や段落分けなど、小学生でも読みやすいように工夫が凝らされています。
内容は天野さんの本の内容と比べてみると、齟齬が見つかって「どっちが正しいのかな」と、二重に面白いです。
読むとびっくりしますが、水門や調査施設にそれぞれ「○○くん」と名前が付いていて、無骨な外見ながらフレンドリーさをアピールしています。
一方で、堰の運用開始後の環境調査のページでは公文書らしい文面がびっしりで大人向け。
運用前の環境調査については、何時に何回、何を調べた、と書いてあるだけで結果は載っていません。
…う〜ん。地元の施設が心配になって来た。(w


もう一方、こちらは河口堰をやめさせる会のサイト。
http://nagara.ktroad.ne.jp/
リンク集も充実していて、これから資料を集めるのに良さそうです。