ヨーク軍曹(1942・米)

祖父から薦められてビデオを鑑賞(NHKのオンエアの録画)。
内容はどうやら、実在の人物の伝記らしい。


主人公は片田舎の貧しい母子家庭の長男で、朴訥な働き者ながら、粗暴な無信仰者。加えて、銃の腕前はライフルでも拳銃でも百発百中。
前半は彼が惚れた女性のために肥沃な土地を買おうと八方手を尽くし、恋人と信仰を手に入れるまでを描き、後半は第1次大戦のヨーロッパ戦線で132人の敵兵を捕虜にするという冗談みたいな成果を上げて、故郷に錦を飾るまでを語る。


制作された時代も時代ですから、まだ見たことのない『のらくろ』の戦時中シリーズってこんななのかな、と思わせるような映画。凄惨で嫌らしい戦争の現実を、上手に娯楽のスパイスにしている。(…それとも戦争に娯楽のふりかけを掛けているのかも。)映画としては面白いだけに、複雑な気分。


登場する人物は誰もが真剣なのに、どこかユーモラスな雰囲気が全編に漂っている。
仕草や、行動のちぐはぐさ、展開の荒唐無稽さが、シリアスさと引きたて合って、とても良い按配。
土地を買うのにどうしてもお金が足りず、更に腕を振るうシーンには、久しぶりにどきどきさせられました。


後半の戦争の場面は、初めの凄惨な戦場の描写を除いて、一層コメディ風の軽い仕上がりになっています。特に30人の兵隊がヨーク一人のライフルの前に白旗を掲げて、ぞろぞろと丘に姿を見せるシーンは、ほんとうに見事。笑ってしまうくらい迫力があります。(アムロ・レイの活躍がわらいのツボに嵌まった人にはオススメかも。)